30-40代女性、着物を1枚持つなら何がオススメ?

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名古屋帯コーディネート
カジュアル服が主流の昨今、着物を着る人も年々少なくなっていると聞きます。手軽にレンタルもできる中、着物を持っている人も限られてきているのかもしれませんね。レンタルは確かに手軽で便利ですので、めったに出番のない留袖や訪問着などはレンタルでも十分かもしれません。
一方で自前の着物の最大の利点は、自分に本当に似合う色を自分の体型(特に身長や手の長さ)に合わせて仕立てることができることだと思います。自分に合ったものを着ていると、だんだんと馴染んで佇まいも違ってくるので不思議です。
プライベートでもビジネスでもイベントが増える30-40代に、1枚だけ着物を持つとしたらどんな着物が活躍してくれるでしょうか?

活躍度No.1の色無地

着物をよく着る人に「着物を1枚持つなら何が良い?」と聞いてみると、おそらくほとんどの人が「色無地」と回答するのではないかと思うほど、その活躍の幅が広いのが色無地です。
色無地とは、黒以外の単色に染められた柄の入っていない着物のことで、その最大の特徴は、慶弔時から少しフォーマルな日常のドレスアップまで幅広く活用できることです。同じ色無地でも、何が利用シーンを左右するかをあえて言うと、着物に付ける紋(およびその数)であったり、着物の地紋であったり、それから着物自体の色で分かれます。

着物は全般的に紋が入ると格が上がります。さらに、入っている紋の数が増えるとその分格が上がっていくのですが、あまり格を上げてしまいすぎると今度はフォーマルな場にしか着ていけなくなってしまいますので、現代に合わせた使い方で考えると、紋を入れるとしても背中に1つ紋で十分だと思います。また、紋が入っていなければちょっとしたドレスアップとして日常使いもできます。

一つ紋

一つ紋付きの色無地

地紋

色無地の生地には、地紋のない生地と地紋がある生地とがあり、遠目にはその差はわかりづらいですが、地紋がある生地は動くと地紋が揺れて美しく、より豪華な印象に映ります。おめでたいとされる吉祥紋の地紋が入っている色無地でしたら、お祝いのイベントにもぴったりですね。(上の写真の色無地には地紋が入っています。)
地紋があっても目立つものではないので、そうこだわるポイントではないかもしれませんが、その細かで繊細な芸術は着物ならではの美しさですので、個人的には地紋入りの色無地が好みです。光沢感のある生地であればより一層華やかさが増し、大人の女性ならではのしっとりとした美しさを演出できるのではないかと思います。

単色がゆえに個性が出るも色無地の特徴ですね。ご自身にあった色合いをじっくり選ぶ時間もまた、贅沢で楽しいひとときではないかと思います。一般的には、お祝いには明るめの色合いを、弔事には落ち着いたダークトーンを、と言われておりますが、弔事用に着物を仕立てる方も現代では限られていると思いますので、あまり気にせずお好きな色をチョイスするのが良いのではないかと思います。単色がゆえに合わせる帯によってもその印象が大きく変わるのも色無地の特徴ですので、お気に入りの一枚に複数の帯を持っておくのもオススメです。

青の色無地

青の色無地

活躍のシーン

金糸銀糸が入った華やかな袋帯を合わせて友人や親戚の結婚披露宴に、お子様がいらっしゃる方であれば、同じく華やかな袋帯を合わせてお宮参り・入学式・卒業式にと大活躍します。フォーマルな挨拶の場であったり、ビジネスシーンでも海外からのお客様を接待する際などにも活用できます。着物好きの外国人は多いと聞きますので、間違えなく喜んでもらえ、それ自体がおもてなしにもなりますね。(色無地のシーン別利用は、こちらもご参照ください>>色無地の着物、実はすごく活躍するって知ってますか?)

 

色無地と並んで人気の高い「江戸小紋」

「小紋」と名はつくものの、ものによっては色無地と同格に扱われ活躍度合いも人気も高いのが江戸小紋です。私のブログでも、色無地の記事と江戸小紋の記事はダントツにアクセス数が多いです!
江戸小紋は、遠目で見ると色無地にも見えるほどの細かい柄の型染めの着物です。小紋の代表格でもある「京小紋」が色彩豊かなのに対し、江戸小紋は基本的に単色で作られています。紋の有無によって格が変わるのは色無地と同様ですが、名古屋帯を合わせることでよりカジュアルなシーンでの活用もできることから、特に着物好きには重宝される着物です。
江戸小紋

江戸小紋

活躍のシーン

江戸小紋には多様な柄がありますが、フォーマルに着ることができる柄は江戸小紋三役〜江戸小紋五役までと言われています。これらの柄であれば、色無地と同様に華やかな袋帯と合わせて結婚披露宴やフォーマルな式典などに着ていけます。よりフォーマルにしたい場合には背中に1つ紋を入れると格が上がります。

フォーマルシーンの江戸小紋コーディネート

略礼装の鮫小紋コーデ

 

せっかく買った着物ですので、フォーマルな場面だけでなく、日常のちょっとしたハレ着にも使いたい方には、色無地よりも江戸小紋(紋なし)がオススメです。名古屋帯と合わせれば、ちょっとした行事や観劇・音楽鑑賞・美術館、高級レストランでのお食事になど、本当に活躍のシーンが多く重宝します。
着物に紋を入れたからと言って日常使いが絶対にNGかと言われると、背中一つ紋くらいであれば気にせず着てしまって良いように個人的には思いますが、やはり紋が入っていると見る人が見れば「格」が出ますし、一方で紋が入っていないからと言ってフォーマルな場では着てはいけないというほど着物にうるさい人も少なくなっていると思いますので、紋を入れるかどうか迷った場合には、とりあえず入れなくても良いかもしれないですね。(なお、紋はあとから入れることも可能です)
こちらも単色の着物ですので、ご自身にあった色合いを選んで帯で雰囲気を変えていくのも楽しみの1つですね。明るく華やかな色合いにすると、フォーマルな場によりマッチすることと思います。(江戸小紋のTPO(フォーマルとカジュアルの使い分け)は、こちらもご参照ください>>小紋の一番人気「江戸小紋」とは?どんなシーンで活躍する?

より華やかさを重視したいなら付け下げ訪問着

着物の一番の魅力でもある「繊細で華麗な色彩」が欲しい方には、着物の代表格と言っても過言ではない付け下げ訪問着がオススメです。「絵羽模様」と呼ばれる、広げると1枚の豪華な絵のようになる訪問着と比べ、模様が繋がっておらず全て上向きになっているのが付下げですが、素人目にはその違いはほとんどわからないと言われており、最近では華やかな付下げを「付下げ訪問着」と呼んで訪問着と同等の扱いをしているようです。

訪問着コーディネート

訪問着

上の写真のような訪問着は結婚披露宴のようなかなりフォーマルな場にしか着ることができないため、活躍シーンがどうしても限られてしまいますが、もう少し華やかさを落とした付下げ訪問着であれば、結婚披露宴はもちろん、式典やフォーマルなシーンでの活用まで広がります。なお、付下げ訪問着には袋帯を合わせるのが基本です。
色無地や江戸小紋と比較すると、華やかさがプラスされる分、日常のちょっとしたドレスアップに使うには少しtoo muchな感も出てしまうため、活躍シーンは比較的限られてしまうかもしれませんが、華やかなイベントへの出席や外国人の接待などが多い方は1枚持っていると重宝するのではないかと思います。(着物の種類フォーマル編 | こんな時はどの着物が正解?は、こちらもご参照ください>>着物の種類フォーマル編|こんな時はどの着物が正解?
付け下げと袋帯のコーディネート

付け下げ訪問着

付下げ訪問着の魅力はなんと言ってもその華やかさと、着物ならではの豊かな色合い、職人技術が光る繊細で見事な模様にあると思います。最近では着物職人の数も減り、その技術を受け継いでいくのが大変だと聞きますが、そんな時代だからこそ、改めて日本の伝統芸術品を身につけることで、大人の日本人女性ならではの品格と美しさが醸し出されるのではないかと感じます。

箔の袋帯

袋帯

 

いかがでしたか?スーツやドレスと違い、誰もが着ているものではないからこそより特別感があり、日常的に着ないからこそいざ着た時には凛とした佇まいとなり、何よりも職人が時間をかけて作り上げた伝統技術の華やかさが際立つのが着物ですよね。自分に合った1枚をぜひ見つけて、着物ならではのオシャレを楽しんでいただけたらと思います。

 

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