
着物がオシャレだと言われる理由、そして難しいとも言われる理由の一つが「季節の先取り」ではないでしょうか。
昔の人は少しだけ先の季節の柄を合わせることで、次の季節の到来を待ちわびている感じを楽しんだそうなんですね。例えば1月の今でしたらもうすぐ咲く梅の花柄の帯をつけたり、桜の花柄を3月中旬頃から楽しんだりするのです。この「ちょっと先取り」は季節の花を知らないとできないですし、時期外れに身につけていると思わぬところで恥ずかしい思いをしてしまうかもしれないので、着物初心者にとってはちょっとしたハードルになりますよね。ということで、迷ったときにちょっと見返せるような一覧表を作ってみました。
季節の柄と通年で使える柄を知る
季節ごとに合わせる柄
月 | 柄 |
1月 | 松・竹・梅・干支文様・宝船など |
2月 | 梅・水仙・椿・欄・桃など |
3月 | 桃・蝶・菜の花・桜・藤・菖蒲(しょうぶ)など |
4月 | 桜・霞・牡丹・柳・流水など |
5月 | 流水・紫陽花(アジサイ)・若竹など |
6月 | 紫陽花(アジサイ)・雲・雨・海・百合など |
7月 | 流水・雲・波・朝顔・夏草・睡蓮など |
8月 | 雲・波・水・祭り模様・秋の七草模様など |
9月 | 秋の七草模様・虫籠・菊・すすき・月・笛など |
10月 | 菊・銀杏・紅葉・木の実・宝尽くしなど |
11月 | 木の実・野菊・実もの・雁・枯葉散らしなど |
12月 | 落ち葉・寒菊・枯野・唐草や更紗、南天など |
表に記載されているのは、あくまで目安の時期になりますので、その月以外で身につけたらNGかと言われると、そうではありません。あまり大きく季節感の外れたものでなければ、オシャレ着は「季節感を楽しむ」ことを優先して問題ないと思っています。(ただしお茶席のようなしきたりのある場所や結婚式などの格式のある場ではしきたりに倣うのがマナーです)
四季は日本特有のものですし、季節感のあるものを身につけていると周りの人も楽しめて良いですよね。そうは言っても帯にある柄を見て、パッと花の名前を言えるかと言われるとかなり難しいと思いますので(笑)、購入時にわからない場合や自信がない場合はお店の人に聞いてみるのが一番です。

小菊柄の名古屋帯
季節を問わない柄
以下の柄は季節を問わずに通年使える柄の代表例です。最近は通年で使える柄の種類も増えているそうです。
- 四君子文様(しくんしもんよう):梅・竹・菊・蘭の4つの花で四季を代表する草花を組み合わせた模様
- 有職文様(ゆうそくもんよう):平安時代から朝廷や武家の装飾品に使われていた文様で、代表的なものとして亀甲・七宝・唐草・菱文・小葵文など
- 吉祥文様(きっしょうもんよう):松竹梅・鶴亀・鳳凰・蝶などのめでたい文様
着物を着る度に毎回季節の柄を考えるのはそれはそれで面倒ですし、季節の柄を楽しめるものと、気にしなくても良いものと両方あると便利ですね。下の写真のように、花柄だけど特定の花ではないものも季節を問わずに使えます。

季節を問わない柄の名古屋帯
なお、着物や帯、小物などは季節によって衣替えも必要です。昔は月によって衣替えのタイミングが決まっていましたが、温暖化が進んでいる現在では気温に合わせて衣替えをしていくのが好ましいとされるようになってきたようです。(詳しくはこちらの記事から>>袷と単衣の違いと衣替えのタイミング)
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