
5月に入ると気温も20度を超える日が増え、少し汗ばむ季節になってきますね。新緑が美しく爽やかな気持ちの良い時期ですが、いざ着物を着ようとするとどんな着物や帯を合わせれば良いのか迷ってしまう方も少なくないのではないかと思います。洋服とは少し勝手の違う着物の衣替えシーズンや、初夏におススメの着物コーディネートをご紹介していきたいと思います。
着物の衣替えってどのタイミングでするの?
まず着物には、裏地のある袷(あわせ)と呼ばれる着物と、裏地のない単衣(ひとえ)と呼ばれる着物の2種類があり、着物の衣替えとはこの袷と単衣を切り替えることを指します。(袷と単衣の違いはこちらから→袷と単衣ってどう違うの?どこで見分けるの?)
さらに着物を着る時には、着物の他に長襦袢や帯、帯上げや半衿などの小物類も身につけますので、それら全てを季節に合わせて替えていくんですね。どのタイミングで何を替えていけば良いのかというのが着物初心者にとっては悩ましいポイントだと思うのですが、月によって替えていく従来のやり方と、最近では気温によって替えていく方法も広がってきています。
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月による衣替え
まずは、従来のやり方である月による衣替えです。5月は袷の着物、6月は単衣の着物を着ます。5月までは基本的に冬仕様なのですが、暖かくなる季節ですので長襦袢は単衣に替えます。ちなみに7月からは夏用の薄物の着物を着ます。
月 着物 長襦袢 帯・帯上帯〆・半衿 5 袷 単衣 冬物 6 単衣 絽・紗、麻 夏物 -
気温による衣替え
次は気温による衣替えです。昔は月による衣替えのカレンダーがしきたりとして守られていたそうですが、温暖化が進む近年では、気温に応じて臨機応変で良いという考え方がメジャーになってきたようです。
気温 着物 長襦袢 帯・帯上帯〆・半衿 15〜22℃ 袷 単衣 冬物 22〜28℃ 単衣 単衣 夏物 確かに最近では5月でも25℃近くなる日もあったりしますので、天気予報でも「夏日」と言われるような日には5月であっても単衣を着た方が見た目にも暑苦しくなくて良いですよね。こちらも、28℃を超えたら夏用の薄物の着物になります。
初夏のおススメ着物コーディネート
5月は袷の着物で小物類も冬物仕様と言っても、やはり初夏の明るい日差しの中で冬っぽい着物を着るのはちょっと躊躇いもありますよね。洋服も冬は黒や茶などのダークカラーが主なのに対して、初夏になると白や明るい色の服に衣替えするように、着物も季節に応じたカラーコーディネートがやはりオシャレです。
この時期私が好きなコーディネートは、明るい色の紬コーディネートです。紬のシャキっとした感じが初夏の空気と合って爽やかな雰囲気が出る気がするのがお気に入りの理由です。
これは母の着物を借りて美術館に出掛けた時のコーディネートで、裄が短いのを誤魔化しながら着ていました(汗)。結城紬なのですがトーンも明るく、新緑やカラフルなお花たちととてもマッチする着物です。
こちらも結城紬の着物コーディネートです。昨年のGWに金沢に旅行した時に着物も持参して、兼六園に着ていきました。着物を旅行に持っていくとなるとキャリーケースが登場するほどの大荷物になりますが、やっぱり日本を代表する庭園には着物が一番似合うだろうと思い頑張りました。兼六園ではちょうど菖蒲など初夏の花が咲き乱れ、その中を着物で散策するのは至福のひとときでした。
汗ばむ季節の着物のお手入れ方法
最後に、着物のお手入れ方法を簡単にご紹介します。汗ばむ季節は衿もとの汚れや着物に汗ジミがつかないかなど、色々と心配になりますよね。
特に気をつけたいのは、汚れやすい半衿です。着物を脱いだ直後は汚れが目立たなくても、気づかない間に皮脂汚れはついてしまい、そのまま放って置くと次に着物を着る時にシミや黄ばみが出ていたりします。汗ばむこの季節は、着るたびに半衿を外して洗うのが理想的です。
半衿はポリエステルであればネットに入れて洗濯機で洗えますし、正絹であれば下の写真のように洗面器に入れて手洗いします。(半衿の洗い方詳細はこちらから→覚えておきたい半衿の洗い方とお手入れの頻度)
また、着物や長襦袢は、着た後に必ずハンガーにかけて陰干ししましょう。そうすることで、着物についた湿気を飛ばしカビや虫食いを防いでくれます。ポリエステルの洗える着物であればご自宅の洗濯機で洗えるので、この季節はより重宝しそうですね。正絹の着物は自宅では洗えませんので、しっかり干してからしまうようにすることと、数回着たら着物をクリーニングに出すことをおススメします。例え一度しか着ていなくても、秋の衣替え前にはやはりクリーニングに出しておくと安心だと思います。
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